めぞん一刻
『めぞん一刻』( - いっこく)は高橋留美子によるラブコメディ漫画作品。及びこれを原作としたアニメ(テレビ・映画)、実写版映画、テレビドラマ作品。本項では原作である漫画作品を中心に、関連作品全般について述べる。
概要
「時計坂」という町にある「一刻館」という名の古いアパートの住民、五代裕作と、管理人としてやって来た若い未亡人音無響子を中心としたラブストーリー。人より苦労を背負い込んでしまう世渡り下手な青年・五代裕作と、生来の鈍感さと亡き夫への操ゆえの真面目さを合わせ持つ美人管理人・音無響子の織り成す恋愛模様が、常識はずれの面々が住むおんぼろアパート「一刻館」を舞台に、高橋独自のリズミカルでコミカルな展開で小気味良く描かれる。
「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)誌上において、創刊号である1980年11月号から1987年の19号にかけて連載。ビッグコミックスピリッツは創刊当初は月刊であったが、月2回刊からさらに週刊へと変わり、掲載の頻度は増えていった。
単行本は全15巻。2007年4月27日に新装版として発売される。1992年から1993年にかけて、A5判のワイド版としても発売され、1997年には文庫版が出ている。1986年にはアニメ化、実写映画化され、1988年にはアニメ映画も作成されている。また、2007年にはテレビ朝日系列でテレビドラマが2本製作、放映された。
作品解説
時代背景・場所
連載当初、高橋は西武池袋線沿線の東京都東久留米市に居住しており、本作品の初期の風景描写にはこの街の様子がうかがえる。例えば「時計坂駅」の外観は、西武線東久留米駅がモデルとなっている。駅舎やプラットホームの描写に同駅の特徴が見て取れる。連載当時の東久留米駅は現在の北口駅舎しかなく、駅舎脇には「狭山そば」の店舗があった(作中でゆかり婆さんがそばを食べながら店を出てくるシーンがある)。原作中にみられる時計坂の描写の多くは、東久留米駅北口から徒歩数分圏内の町並みをモデルに作画されていることが愛好家らの研究[1]により発見されているが、その多くは20年以上の時の経過により消失し、面影がわずかに確認出来る程度である。なお、作者は当作品の連載中に、同じ西武線沿線の練馬区に転居しており、初期の作画と後期の設定が同一性を保持していないことが指摘されている。中期頃の原作に郵便物で「東京都練馬…音無響子様」(61話)と描写されるシーンが登場する。
アニメ化に際してアニメーターが黄色い車両を中央・総武緩行線にしようと決めたのか(制作のスタジオ・ディーンは同線沿線の西荻窪にある。高橋氏本人の了解を得たのかは不明。)、アニメ31話「一刻館スキャンダル 五代君が同棲中!?」では「立川」、「津田沼」の行き先を出した電車が描かれており、92話「こずえちゃん結婚! 五代の愛は永遠に?!」では「西船橋」の方向幕を出した電車が描かれている。また、アニメでは「都内時計坂市時計坂町1-3-10」と書かれた手紙が54話、61話に登場した。
物語は、高橋が得意とするシチュエーションコメディの手法が採用され、すれ違いと誤解の繰り返しが各話の基本構造となっている。固定電話は普及していたが、五代は経済的理由で電話を引けない状態であり、アパートの電話は管理人室と共用にそれぞれ1台という設定がなされた。ガールフレンド(こずえ)から五代あてにかかる電話を響子が取り次ぐなど、2008年現在では考えにくいシチュエーションから生じ得た数々のすれ違いと誤解、住人たちの干渉などは、物語のための大きな舞台装置となっている。[2]
登場人物の特徴
登場人物はそれぞれが際立った個性を持っている。"非常識のかたまり"とも言える一刻館の住人をはじめとして、アクの強いキャラクターたちが織り成す奇妙でおかしな行動の数々も、物語の重要な要素である。住人の苗字には、居住する部屋番号と同じ数字が入っている(ストーリー上の重要人物の三鷹瞬、七尾こずえ、八神いぶき、九条明日菜も含む)が、これは高橋が大ファンである筒井康隆の短編小説『死にかた』から発想を得たとも言われている[要出典]。際立った個性をもつ典型的なキャラクターを使い、回話ごとにキャラクターを軸に物語を展開させる手法はコメディの正統にあり、主要登場人物のキャラクターの系譜は他の高橋作品にもしばしば登場している。
作品のきっかけ
高橋が大学時代に住んでいた西武池袋線江古田駅近くの[要出典]中野のアパートの向かいにあった下宿屋の住人がトランシーバーでやり取りし合ってる等といった様子が面白そうだったことから、下宿屋の人間模様(喜劇)を描いてみたいというのがこの作品のきっかけであり、当初は恋愛作品の予定ではなかったという。そのためか初期には浪人の五代を一刻館の住人がからかうストーリーが多かったが次第に恋愛中心のストーリーになっていった。この下宿は1980年の春に取り壊され連載を決めたときにはすでに建物は無かった[3]。
注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。
登場人物
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一刻館の住人
- 五代 裕作(ごだい ゆうさく)(声:二又一成)
- 一刻館5号室の住人。心優しくも気弱で優柔不断、典型的なラブコメ主人公。原作と異なり、アニメ版では就職浪人していない。
詳細は五代裕作を参照
- 音無 響子(おとなし きょうこ)(声:島本須美)
- 本作のヒロインで、若く美しい未亡人。彼女が管理人として一刻館にやってくるところから物語がスタートする。
詳細は音無響子を参照
- 一の瀬 花枝(いちのせ はなえ)(声:青木和代)
- 一刻館1号室の住人。詮索好きで世話好きのいわゆる典型的なオバサンだが、加えて騒動好きで酒好きの宴会好きという豪快な性格。宴会が盛り上がると両手に扇子を持って踊る。北海道出身(スケートの話での「道産子だもーん」という台詞より)。昼間から酒を飲んでおり、酒樽体型(ただし、学生のころから同じ体型だった)。普段はちゃらんぽらんだが、響子に時折有効なアドバイスをするなどいざと言うときに頼りになる。五代と響子の関係を家族のような目で見守りつつも大変面白がっていて、常に事態を面白くさせようと行動するため、彼女が元凶となった誤解は数知れない。
- 一の瀬氏(いちのせ し)(声:矢田稔)
- 一の瀬花枝の夫。気弱で存在感が薄く、管理人の響子でさえ長いことその存在に気付かなかったが、勤めていた会社が倒産した事により、初めて住人達にその存在を知られる。その後も登場することはほとんど無かった。一の瀬家は一刻館で唯一家族で暮らしている。花枝との馴れ初めは社内結婚である。妻の花枝と肩を並べるほどの酒豪で、飲んでもほとんど乱れない。原作では「一の瀬氏」「一の瀬のおじさん」と呼ばれ名前の設定は明らかにされなかった。
- 一の瀬 賢太郎(いちのせ けんたろう)(声:坂本千夏)
- 一の瀬夫婦の長男で、物語の大半は小学生。響子を含む一刻館の住人では最も常識人。母親を反面教師にしてか、大人びた子供である。五代に夏休みの宿題を見てもらっていた「メモリアル・クッキング」(14話)では、宿題帳(ワークブック)の表紙に「4」(小学4年の意味か)の数字が見られる。原作では中盤以降は全く登場しなくなり、最終話にのみ姿を見せた。最終話は裕作と響子の結婚式を描いており、この時に賢太郎は中学生になっていた。TVアニメ版では二階堂望が登場しないため、本来なら二階堂の役回りとなる部分(アパートに戻れなくなったと誤解した五代を匿う羽目になる、など)が賢太郎に回るなどして、一応出番は継続していた。
- 二階堂 望(にかいどう のぞむ)(声:堀川亮、テレビ版アニメには登場せず。劇場版には登場)
- 一刻館2号室の住人で大学生。連載の後半(1984年4月~)から登場。大学現役合格(五代とは別の大学)を機に高級マンションの「立国館」と「一刻館」との手続き違いで入居してくるが、管理人の響子を気に入りそのまま一刻館に住むこととなる。実家は裕福らしく、過干渉気味の母親に甘やかされて育ったせいか他人の気持ちに疎く、場の空気を察するということができない。ただしマザコンではなく、母親の過干渉は内心疎ましく思っており、気楽に一人暮らしができることを喜んでいる。入居した段階では未成年だがタバコや酒を嗜んでいた。転入直後に一通り住人達との騒動(五代を巻き込んだ四谷との対立、三鷹とのやりとりなど)があって以降は登場機会が少なく、宴会シーンなどには時折登場するものの、一刻館の住人でありながら端役で、物語の本筋には殆ど絡まない役であった(原作者も連載終了後の少年サンデーグラフィック誌上で「二階堂は(あまり活躍させられなくて)かわいそうだった」という趣旨のことを述懐している)。最終的には大学卒業まで一刻館に住み続け、響子と五代の結婚式にも参加している。卒業後は地元の茨城県で就職し自宅通勤となったため、相変わらずの母親の過干渉に内心辟易し、一刻館での暮らしを懐かしく感じている。
- 三越 善三郎(みつこし ぜんざぶろう)(声:堀勝之祐、テレビ版アニメのオリジナルキャラクター)
- 一時的に一刻館3号室の住人となる。一刻館を地上げする目的で来たが、最終的には何もせずに去っていった。なお、原作では3号室は一度も住人が住み着くことはなく、愛好家らからは「開かずの3号室」と呼ばれた(アニメでは八神が一刻館に居座った時に五代が一時的に住んだことがあった)。
- 四谷(よつや)(声:千葉繁)
- 一刻館4号室の住人で、五代の隣人。下の名前は不明。(注:但し二度ばかり、テレビ版アニメの中で、名刺付きで異なる名を名乗っていた事がある)五代が一刻館に入居したその日に、4号室と5号室の間の壁に穴を開けてしまい、そこから何かと五代の私生活に干渉する。誰に対しても丁寧な言葉遣いで話し、普段はスーツ姿または在宅用の着物姿(冬は外出時に帽子とコートを羽織る)。五代、響子、二階堂などは職業など何をしているのか疑問を懐き、尾行・調査をしたこともあったが四谷に気づかれており(単にあちこち振り回されただけ)、結局なにも分からなかった。別の話でも五代が四谷に「職業は何ですか?」と聞いたが「ひ・み・つ」と答えられて「無職のくせに」と言ったり五代がバイトしているキャバレーに飲みに行った際にホステスから「パパになって」と言われた時も朱美が「無職だからダメよ」と言ったことがあったことから、病気などの理由で生活保護受給者ではないか、スパイ、公安警察、探偵、作家、また、虚無僧の衣装を持っているために役者ではないかなど色々な説がファンの間で飛び交った。しかし、実際には無職なのかどうかすらも不明で、年末年始には「私にはちゃんと帰るところがあるんです。休みも取りましたしね」という発言をしてどこかへ去って行くため、余計に謎を深くしている。ちなみにアニメ版だと「うる星やつらのビデオ見よーっと」というセリフがあることからテレビとビデオデッキは持っているようである。趣味はのぞき、特技はたかり。年齢・職業・経歴などは一切不明という、変人ぞろいの一刻館の住人の中でも一際目立つ存在であり、結局何者なのか明かされることはないままこの作品は終了した。アニメ版では、本人に瓜二つの祖父、叔父がかつて一刻館に居住していたという設定で「一刻館の歴史は四谷家の歴史」とのセリフが登場する。先行作ダストスパートの背古井と容姿、言動、行動との類似点が非常に多い。
- 六本木 朱美(ろっぽんぎ あけみ)(声:三田ゆう子)
- 一刻館6号室の住人。一刻館の面々のいきつけスナック「茶々丸」勤務。普段着はスケスケのベビードールと下着という扇情的な格好で、そのままアパートの中をうろつくが、住人たちは慣れっこになってしまっている。酒好きで破天荒な性格だが、時折、響子や五代にずばり本質を突いた一言を掛けて、背中を押してやるような姉御肌の世話好きな面もある。ちなみに、6号室に住んでいるため「六」のつく苗字であることは読者の間で早くから予想されていたが、登場人物が「朱美さん」か「朱美ちゃん」としか呼ばない(最後まで誰も彼女を苗字で呼んだことはなかった)ため、実際に苗字が出た(自分で名乗った)のは、原作のかなり後期になってからである。
響子と裕作に関わる人々
- 惣一郎(さん)(犬♂)(そういちろう)(声:千葉繁)
- 響子の愛犬。響子の亡夫・惣一郎が帰宅途中に買った焼き鳥に釣られてついて来て、そのまま音無家に居ついてしまった野良犬で、風采の上がらない雑種の白犬(賢太郎曰く「白くてじじむさい犬」)。惣一郎は「シロ」と名付けたがその名にはほとんど反応せず、響子が「惣一郎さん」と夫を呼ぶたびに反応していたことから、夫の死後はその名を受け継いだ。
- 三鷹瞬(みたか しゅん)(声:神谷明)
詳細は三鷹瞬を参照
- 響子の通うテニススクールのコーチ。金持ちでスポーツ万能、容姿端麗で女性にもてるという典型的なライバルキャラで、白い歯がいつも爽やかに輝いている。原作では愛車が日産・シルビアだが、アニメではトヨタ自動車がスポンサーになった際にトヨタ・ソアラに変更された。
- 七尾 こずえ(ななお - )(声:冨永み~な)
- 五代のガールフレンド。独特の無邪気さや積極性でエピソードのきっかけを作ることが多い。独特のペースを持ち、周囲の人間はその雰囲気を容易には崩すことができない。五代より1歳年下で違う大学に通っており、一軒家の自宅に両親と小学生の弟・葉介の4人家族で住んでいる。大学1年の夏休みに酒屋のバイトを通じて五代と知り合った。近眼で、酒屋のアルバイト代でコンタクトを購入したため、こずえがメガネ(レンズ部が顔の半分ほどもある大きなもの)を掛けていた印象が強かった五代は、その後、秋に街で再会して声をかけられても、すぐには彼女と気がつかなかった(五代曰く「メガネとると別人みたいなんで…」)。この再会をきっかけに、五代へ積極的にアプローチを開始する。五代にネクタイを着用させ、自分で買ってきたメロンを(土産として)持たせ、不意打ちで自宅に連れて行き家族に紹介するなど、ちょっとした策略家でもある。時々五代は気持ちが揺れ動いてこずえに迫ろうとするが、タイミングが合わず2人は終始プラトニックなままである。また、五代が別れ話を切り出そうと決意したときも、なぜかしら不成功に終わる。物語終盤には銀行に就職、この頃、こずえの早合点から複数の大騒動が起きるが、「雨降って地固まる」結果となる。銀行員2年目に会社の同僚にプロポーズされて結婚。最終話では、名古屋に転居し幸せな新婚生活を送っている姿が描かれた。結局、五代が響子のことを好きなことを知っていたのかどうかは描かれることがなかった。ちなみに父親はこずえを溺愛しており、娘がボーイフレンドと付き合うこと自体は構わないが、相手がこずえを泣かせるような男ならば「猟銃で撃ち殺してやるからな」などと過激な発言をしている。
- 八神 いぶき(やがみ - )(声:渕崎有里子)
- 五代が響子の母校へ教育実習に行った際、受け持ったクラスの委員長で当時高校2年生。美少女で成績も良いが、決して優等生タイプではない。ある誤解から五代に恋をし、一刻館に度々押しかけては騒動を巻き起こす怖いもの知らずの女子高生。一旦は冷めて恋をあきらめようとしたが、別れ際に自然と涙が出てきてしまったことからあきらめずに再び五代にアタック。就職活動に苦しむ五代を見かね、大手商社の人事部長である父に五代の入社を依頼し、逆に不利に追い込んでしまうこともあった。物語途中で、五代への想いを認めることによって、亡き夫、惣一郎への想いをウソにしてしまう(と本人は感じている)ことを怖がっている響子に対し、「弱虫!」と何度も叫んだ後は登場しなくなった。最終話の後日談では、女子大生となって1ページ登場したのみだが、まだ五代を忘れられないでいる。後述のとおりアニメの劇場版「完結編」で五代との関係にケリをつけることになる。
- 五代 春香(ごだい はるか)
- コミック最終話に登場。裕作と響子の間に生まれた娘。桜の頃(3月末か4月初め)に生まれたことから命名。
響子の縁者
- 音無 惣一郎(おとなし そういちろう)(声:田中秀幸)
- 響子の亡夫。響子の通っていた高校の地学の非常勤講師(響子とこずえの会話で「講師のバイトしてたんです」とある)で、響子より10歳年長(原作「配達された一枚の葉書」の響子の述懐によると、昭和52年春・当時高校3年生だった響子に出会ったときに27歳とある)。響子との結婚後、わずか半年余りで亡くなってしまった。ストーリー開始時点ですでに故人であり、その姿はつねに影法師の描写でなされ、人格の表象である顔を意図的に隠すことで物語に強い輪郭を与えている。これは音無家を訪問した五代が、仏前の遺影をのぞき見ようとしたら、結局、額が壊れていて表情が分からない、アルバムの写真で確認しようとしたら汚れていて判明できずといったコメディにまで昇華されるほど徹底しており、結局、完結に到るまで直接描かれることはなかった(終盤に五代は写真を見ることができたが読者にはわからないように描いた)。最終回前のエピソードで彼の遺品が登場するが、懐中時計や丸縁のメガネを使っていた(常時着用していたかは不明)ことが分かる。一般的にはうだつの上がらない人物だったようだが、彼の存在は物語において大きな意味を持ち、五代の最大かつ最強の恋敵である。名前の由来は連載誌スピリッツの担当編集者だった鈴木総一郎からと言われているが、鈴木本人は「これは全くの偶然です(笑)」と話している。[4]
- 音無惣一郎の父(声:槐柳二)
- 名は不明。アニメでは音無老人と呼ばれている。響子の義父で、惣一郎亡き今でも響子は「お義父さん(おとうさん)」と呼んでいる。穏やかな老人で、未亡人となった響子のことを気にかけている。一刻館の大家で、入居契約や契約更新もその役目であるようだ。響子の母校である女子高の理事でもあり、それゆえ惣一郎が講師として教鞭をとることにもなり、裕作の教育実習先にもなった。
- (音無)郁子(いくこ)(声:荘真由美)
- 惣一郎の姪。響子を「おばさま」と慕い、五代を「おにいちゃん」と慕っている。郁子の強い要望により、中学の3年間(連載時期:1981-83年度)五代が家庭教師をした。賢太郎の初恋の相手だが、郁子本人はその好意に気づいていない。原作では姓が「音無」かどうか確定できず、ファンの間でも意見の分かれるところとなっている。テレビアニメ版ではテキストに「音無郁子」の記名が確認できるシーンがある。連載時期84年度に高校に入学しているので、同じ年度に高校2年生だった八神いぶきの(学年では)1つ下の設定と考えられる。最終話(連載時期:87年春)では高校卒業前後(大学1年生?)の成長した姿で登場するが、中学生になっていた賢太郎とともに、作品中で時間が6年半経過したことを如実に語る描写である。
- 郁子の母(声:峰あつ子)
- 惣一郎の実姉あるいは義姉。音無老人や響子との言葉遣いからは音無老人の実子とも受け取れるが確定していない。
- 千草 律子(ちぐさ りつこ)(声:松島みのり)
- 響子の実母。なかなかの策略家で、響子の音無家からの離籍や再婚に執念を燃やす。
- 響子の父(声:富田耕生)
- 響子の実父で名は不明。大変な愛娘家。響子と音無家の縁を切りたい点では妻の律子と同意見だが、再婚には反対。できればひとり娘の響子をずっと手元に置いておきたいと思っている。惣一郎との結婚にも大反対し、駈け落ちの原因となった。響子の子供時代を思い出しては泣く。
その他
- 九条 明日菜(くじょう あすな)(声:鶴ひろみ)
- 三鷹の見合い相手で旧華族の令嬢。性格はおとなしく世間知らずで引っ込み思案だが、芯はしっかりしている。本気で三鷹に思いを寄せ、三鷹が響子にアプローチしていることを知っても決して引かない。一時三鷹に振られそうになった時は失意のあまり倒れ、出家して生涯結婚しないと言い出し三鷹を困惑させた。もの凄く声が小さいことを表すため、原作では吹き出しの活字がいつも小さい。大の愛犬家であり、6匹の飼い犬を自分の弟や妹と呼びかわいがっている。
- なお、明日菜の初登場時(原作「大安仏滅」)に、甥(三鷹瞬)に見合い相手として彼女を紹介した三鷹の叔父は、彼女を「白百合女子大卒、21歳」と紹介しているが、4大卒なら最低でも22歳以上のはずなので、実際には短大卒の可能性が高い。なお実在する白百合女子大学は、かつて白百合短期大学(1950-65年)であったものの彼女が在籍していたであろう時期(1982-84年)には4年制単科大学に移行しており、短大部は存在しない。
- 最終的には三鷹との間に「めい」「もえ」(漢字不詳)という双子(三鷹同様に歯が光る)をもうけ、3人目を身ごもっている。
- 五代 ゆかり(ごだい ゆかり)(声:京田尚子)
- 五代の祖母(父方の祖母)。働く両親の代わりに五代を育てた。矍鑠としていて、上京時にはディスコにも繰り出すほど。一刻館の住人たちの酒盛りのペースについていけるほど酒に強く、泳ぎも得意(自称「若いころは浜の女王」だが、五代曰く「スルメ」)。毎年自分で梅酒を造っている。三鷹に負けじと歯が光る。新潟弁を話す。一人称は「オレ」たまに「ワシ」という場合もある。原作・アニメではとてつもなく背丈が小さく見える。(劇場版では多少大きくなっている)
- 五代の家族
- 祖母・ゆかりの他、定食屋(店名「五代」)を営んでいる両親と、既に結婚して娘(みっちゃん)がいる姉、および、その夫で脱サラ後五代家の定食屋を手伝っている義兄がいる。
- 五代 晶(ごだい あきら)
- 裕作の従姉妹。幼少の頃は色黒でボーイッシュ。その頃に裕作とは結婚する約束をしたが、本人は忘れているようである。成長して美少女になっていた。裕作の骨折による入院で世話をしに登場したが、それは駆け落ちのカムフラージュだった。テレビ版アニメには登場せず原作のみ登場。
- 坂本(さかもと)(声:古川登志夫)
- 五代の悪友。予備校・大学ともに同期。大学卒業後はしょっちゅう無断欠勤するスチャラカ社員となっている。お調子者で不真面目だが、誤解から三鷹と響子が付き合ってると思いこみショックを受けた五代が、坂本の家に転がり込んだとき、理由を聞かずに何日も泊めるなど友情に厚い面もある。バイト先の保育園を人員整理で辞めて無職の五代にキャバレーの仕事を斡旋し、終盤の物語に大きな影響を与えている。また、大学卒業後に五代を風俗(トルコ風呂。ソープランドくりぃむめろん)に連れて行くことで、五代に女性経験をもたせている。このことは、原作前期の大学生時に、五代は響子が「未亡人ということは性体験がある」という事実に気づいて衝撃(とある種のコンプレックス)を受けていたが、異性経験について同じステージに上がっていたことで、最終的に響子との関係を深めていく中途過程において五代に影響を与える経験となった。予備校・大学時代は五代・坂本・小林(眼鏡をかけた友人)の3人でつるんでいる事が多かった。
- 黒木 小夜子(声:島津冴子(TV版)、榊原良子(劇場版))
- 五代の大学の同級生。人形劇クラブに五代を誘う。卒業後「しいの実保育園」に勤務。就職にあぶれた五代をこの保育園のバイトに誘い、彼が天職に出会うきっかけを作ることになる。一見クールな印象で、かなりさばけた性格である。
- ブチョー(部長)
- 五代が大学時代に所属した人形劇クラブの部長で、五代や黒木の先輩。本名不明。部員たちからは「ブチョー」と呼ばれている。いかつい顔の大男だが、心優しく子ども好き。卒業後は幼稚園教諭となり、在学中から長く恋人同士だった黒木と結婚する。
- マスター(声:若本紀昭)
- スナック「茶々丸」のマスター。茶々丸の2階が住まい。作中の数少ない常識人だが、草野球の賭け試合ではかなり必死だった。実は既婚者だったが最終話で離婚したことを朱美に伝え、同棲を始める。
- 飯岡(声:富山敬)
- 五代のアルバイト先のキャバレーの店長。原作では名前が無かったが、アニメ版で「飯岡」という名前が付いた。坂本の高校時代の先輩であり、その縁で仕事にあぶれていた五代がキャバレーで働くようになる。強面の外見や言葉遣いに似合わず親身な人物で、物事の本質を突く洞察力もあり、五代をどぎまぎさせることが多い。五代の保育士資格の受験にも協力的で、合格した時には手放しで喜んだ。
- 上荻先生(声:沢田敏子)
- 八神の担任で響子の恩師。原作では姓名不詳。響子のことを「五代を好きなくせに往生際が悪い」と言う八神に対し、「亡夫を本当に愛していて『本当のこと』が世の中に1つしかないと思い込むタイプの響子にとっては、新たな恋愛は亡夫への思いが嘘だったのかと苦しめることとなってしまうのでは」と、恩師ならではの洞察で響子の心情を説明する。
- マッケンロー(犬♂)
- 三鷹が犬恐怖症克服のために飼い始めたポメラニアン。雄。飼い主に似て歯が光る。明日菜の愛犬・サラダとの出会いが三鷹と明日菜の結婚のきっかけを作る。名前のモデルは漫画連載当時、全盛を誇ったテニスプレイヤーのジョン・マッケンロー。
- サラダ(犬♀)
- 明日菜の愛犬のうちの1匹で、ポメラニアン。マッケンローと出会ってポッとなり、ついて行く。サラダの妊娠報告が、身に覚えはなかった(響子との関係を気に病んで泥酔した三鷹がたまたま彼の部屋に来訪していた明日菜と一夜を共にしてしまう事件があった)ものの明日菜自身の妊娠報告と三鷹は誤解し、三鷹は明日菜との結婚を決意することとなった。
- 劇場版完結編ではマッケンローとサラダの間に生まれた三つ子(シュガー・ジンジャー・ペッパー)が紹介される。
一刻館
東京近郊の時計坂という町にある木造2階建ての建物で、本作の主な舞台。この建物には大きな時計があり、そこから一刻館という名前がつけられた。建物としては大変古く、床板が良く壊れ白アリが住み着いたりしていた。なお、アニメ版では築70年となっている。何回も壊れかける危機を迎えたが最終話まで壊れることなく持ちこたえた。
一刻館での主な行事として、一刻館メンバーによる宴会がある。主な宴会場所は5号室の五代の部屋である。入居祝いの場合はその入居者の部屋で、水道修繕祝いの場合は水道前の廊下など様々なお祝い事にかこつけると、そのお祝いに関する場所でやる事も多い。毎年のクリスマスでも一刻館メンバーなどで行われている。
全6室の他、管理人室(八畳)、トイレ×2、時計小屋があり、1階は六畳+四畳半、2階は六畳一間である。屋根の時計台は壊れているため、常に10時25分を指しているが、まれに別の時間を指していることもある。なお、アニメ版では構造がやや違い、時計台の文字盤がローマ数字だったり、玄関の石段の数や形が違う、消火器などが設置されている。
入居者についての詳細は#登場人物を参照。各部屋の入居者は以下の通りで、名前に数字が入っている。なお、管理人室は0号室とみなす。
- 管理人室:音無響子→空室?→響子→空室?→五代、響子、春香
- 1号室:一の瀬一家
- 2号室:空室→二階堂望→空室(アニメでは空室)
- 3号室:空室(アニメでは途中で三越善太郎が入居)
- 4号室:四谷
- 5号室:五代裕作→空室→五代→空室
- 6号室:六本木朱美→空室
ラジオドラマ
1984年、NHKラジオで単発ラジオドラマ化。
- 音無響子 - 岡本茉利
- 五代祐作 - 井上和彦
- 一の瀬花枝 - 加藤みどり
- 四谷 - 屋良有作
- 六本木 朱美 - 山田栄子
- ナレーション - 滝口順平
アニメ
同じく高橋留美子原作の『うる星やつら』に続いて本作もアニメ化され、テレビアニメ、OVA、劇場用アニメが製作された。
詳細はめぞん一刻 (アニメ)を参照
実写版
映画
石原真理子主演のもと映画化された。人物構成以外は原作から離れ、独立した一本の作品として制作されたオリジナルストーリーである。原作にあった軽妙さや、高橋留美子独特のコミカルな『間』などはほとんど描かれず、監督である澤井の感性が貫かれた、しっとりとやや暗いイメージの不思議なラブコメディとなっている。
配役は原作のイメージを再現出来る俳優を厳選してキャスティングされた。中でも四谷役の伊武雅刀は「はまり役」との呼び声が高く、逆に伊武本人が四谷のモデルなのではとの説も流れたが、原作者の高橋はこれを否定している。但し、同時期のアニメ雑誌等によれば、高橋は「伊武が四谷のイメージに合致している」旨のコメントを残しているらしい。また、アニメ版で四谷役の声優・千葉繁は、キティフィルムファンクラブのインタビューで「伊武の四谷役の印象が強烈で、彼がやったほうがよいのでは」、と一旦は断ったと語っている。五代を演じた石黒賢は本作が本格的な初主演作である。
公開時期に合わせ、ギルバート・オサリバンが歌う本作の主題歌は同時期に放送されていたテレビアニメ版とのタイアップのため、その主題歌としても使用されたが、わずか1回で使用が中止される事態となった。
キャスト
他、田中邦衛・萬田久子・有島一郎・大滝秀治らが出演。
テレビドラマ
伊東美咲の主演で、初のテレビドラマ版が制作された。五代裕作役は、芸能活動をしていない一般男性を条件にオーディション選考され、中林大樹に決定した。
時代設定は原作の雰囲気に合わせ、1983年(昭和58年)からはじまる。ドラマのプロローグとエピローグ部分には、現代となる2007年に五代が娘の春香を連れて一刻館が取り壊された跡地の公園で当時の思い出を語る、と言うシーンが描かれている。
各種設定が原作および以前の作品と異なるように変更されている。響子が管理人として一刻館にやってきたのが1983年、五代が1963年5月4日生まれ、一の瀬花枝が1946年11月3日生まれ(保証人:父 - 一の瀬政三・夕張市在住)。六本木朱美が1956年6月6日生まれ(保証人:兄 - 六本木健)。
2007年の放送分では、話は完結しておらず次回に含みを持たせた終わり方であったが、続編となる完結編が2008年7月26日に放送された。なお、七尾こずえ役は 榮倉奈々から南明奈に交代した。
オールキャスト
ほか
オールスタッフ
放送局
- 第一回「浪人編」
※なお視聴率は12.1%(関東地区・ビデオリサーチ社調べ)
- 第二回「完結編」
- テレビ朝日系列24局 - 2008年7月26日放送。『土曜ワイド劇場』枠内で放送
※視聴率は8.0%(関東地区・ビデオリサーチ社調べ)
コンピューターゲーム
- めぞん一刻 ~想いでのフォトグラフ~
- 1986年、マイクロキャビンより発売。PC-9801シリーズ、PCエンジン他。アドベンチャーゲーム。下のファミコン版と内容はほぼ同じ。
- めぞん一刻 ~想いでのフォトグラフ~
- 1988年、ボーステックより発売。ファミリーコンピュータ用ソフト。アドベンチャーゲーム、上記のPC-9801シリーズ版の移植作。
- めぞん一刻完結篇 ~さよなら、そして……~
- 1988年、マイクロキャビンより発売。PC-9801シリーズ、MSX2他。アドベンチャーゲーム。
- めぞん一刻 ~想いでのフォトグラフ~/めぞん一刻完結篇 ~さよなら、そして……~
- 1997年、マイクロキャビンより発売。Windows95。アドベンチャーゲーム、上記2作の移植作、定価30000円で3000個限定販売。
「想いで~」は、原作の序盤を元にしたゲームオリジナルストーリー。響子がひた隠しているという、ある秘密を探る、というのが最終目的である。しかし、何も知らずに始めると、その目的が全く分からない。しかも四谷の機嫌が悪いと五代が死ぬという展開もある。原作の五代同様、アパートや街をうろうろしたり、金欠に困ったりといった行動をプレイヤーは繰り返す。セーブはトイレで行なう。トイレでは下着姿の響子を見られるという裏技もあった。 響子のハートをつかむことに成功したエンディング後、収支報告が表示される。しかし普通にプレイするとまずマイナス(借金)になる厳しい展開で、この金運のなさは原作どおりである。さらに郁子のケーキや祖母のお小遣いをたかりまくり一切借金しないようにプレイすることも可能だが、報告書に表示される収支は「-1円」である。なお、スーパーの店員が『うる星やつら』のラムに似ており、話しかけると「だっちゃ」の口癖が時折出る。
PCエンジン版、PC版はほぼ同じ作りであるが、ファミコン版はエンディング等が追加されており、ファミコンにしてはかなりグラフィックがよい。
完結篇は、原作の終盤と映画版完結編のストーリーに沿ったゲームとなっている。X68000版は、シナリオ・グラフィック・BGM等に一部差異がある。また、セリフの一部が響子役の島本須美によって演じられ、喋るようになっていた。
Windows95版は、パソコン版の「想いで~」と「完結篇」の2作を、Windows用にリメイクしたもの。ディスクは通常のCD-ROM用ケースに入れられ、木製・オルゴール付の特製ケースに収められている、また3000個限定で販売された為未開封の物は数万円の値段がつくこともある。
オリンピアよりパチスロ機「めぞん一刻 (パチスロ)」が2006年11月下旬からリリースされた。原作のエピソードをゲーム化しているが、テレビ版とは別の声優陣が出演している。
補足
- 漫画『鉄子の旅』には、トラベルライター横見浩彦の妄想の中で響子さんと会話するシーンがあり、その妄想シーンは高橋留美子本人が執筆している。
- ドラマ『ちゅらさん』に一風館という、一刻館を彷彿とさせる建物が登場する。脚本を担当した岡田惠和は本作のファンであり、先述の通りテレビドラマ版の脚本を担当している。
脚注
- ^ 「一刻館の思いで 或る愛の物語」ワニブックス
- ^ 携帯電話や電子メールの技術は既に存在していたが、まだ一般には普及しておらず、この時代では極めて限定された連絡手段であった。当時は家庭用FAXや伝言ダイヤルなどが最新技術として登場した頃であり、個人を結ぶ連絡手段が多くはなかった。携帯電話が普及するのは1995年前後、個人で利用できるコンピューターネットワーク通信がパソコン通信からインターネットに転換するのもWindows95が発売された95年前後であり、当時の回線方式の最新技術はISDN(基本64kbps)でADSLは2000年代に入ってからである。なお、物語の終盤近くに五代がアルバイトしていたキャバレーのホステスとその子供がポケットベルを使う描写があったが五代がポケットベルを所有することはなかった。
- ^ ビッグコミックスピリッツ2005年47号
- ^ 出典:『クイック・ジャパン』2007年第71号)
- 『片想い--高橋留美子『めぞん一刻』(漫画) (境界を越えて--恋愛のキーワード集)』久米依子(国文学 解釈と教材の研究)学灯社[1]ISSN:04523016
外部リンク
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